日本歯周病学会認定
歯周病専門医による
歯周病治療
歯周病は、軽度・中等度・重度に分類され、軽度についてはほとんどの歯科医院で十分な治療を受けることができます。しかし、中等度以上の歯周病の治療では、ルートプレーニングや歯周外科治療、歯周組織再生療法、抜歯の判断などが必要であり、これらを十分なレベルで行うには高い技術力や経験が求められます。
そこで、歯科医院選びの指標となるのが「日本歯周病学会 歯周病専門医」であるかどうかです。将来を見据えた歯周病治療を行える知識や技術、経験が認められた歯科医師にのみ与えられる資格であり、研修施設で5年以上のトレーニングを受けたうえで専門医試験に合格することで専門医資格を取得できます。
歯周病は、糖尿病や脳血管疾患、心筋梗塞など、全身の病気と関係があることがわかっているため、健康な身体を保つためにも信頼できる歯科医師の治療を受けることが大切です。
歯周病とは
歯周病とは、歯を支える歯ぐきや歯槽骨などに炎症が起きた状態です。進行すると歯周組織の破壊が大きくなり、歯を支えられなくなります。実は、日本人が歯を失う原因の1位が歯周病であり、成人の約8割が罹患しているといわれています。
歯周病の原因
歯周病は、歯垢や歯石に含まれる歯周病菌が出す毒素によって、歯ぐきや歯槽骨に炎症が起きる病気です。体質や生活習慣などのリスク要因が重なることで、歯周病が進行しやすくなります。
日々の歯磨きが十分ではない場合、歯垢が歯石へ変化して自分では除去できなくなるため、定期的なメンテナンスで清潔な口腔内を保つことが重要です。歯石の表面には歯垢が溜まりやすいため、歯科医院に通わないでいるとまたたく間に歯周病が進行します。
また、歯の表面に形成される細菌の集合体「バイオフィルム」も歯磨きでは取り除くことができません。反対に、これらの汚れを徹底的に取り除くことで、歯周病は予防できるのです。
歯周病の検査
清掃状態の検査
歯の清掃状態を確認するために、磨き残した部分が赤く染まる歯垢の染め出し液を塗ります。チェックシートにご自身で磨けていないところを記入していただくことで、歯磨きの癖をその場で理解できます。
プロービング検査
プロービングでは、目盛りがついたプローブと呼ばれる細長い器具を歯周ポケットに差し込み、歯周ポケットの深さを測定したり歯ぐきからの出血の有無を確認したりします。歯周ポケットとは、歯周病の影響で歯と歯ぐきの間にできる溝のことで、進行度の確認ができます。
歯の動揺度検査
歯を1本ずつピンセットで揺らし、揺れ具合から歯周病の進行度を測定します。
レントゲン撮影
歯を支える歯槽骨の状態をレントゲン検査で調べます。歯槽骨がどれだけ失われているかで歯周病の進行度を判断します。
口腔内写真撮影
お口の中の写真を撮影しておくことで、治療前後の比較に活用できます。また、歯ぐきの色の確認やわかりやすい説明などにも役立ちます。
歯周病の治療
ブラッシング指導(TBI)
ブラッシング指導(TBI)とは、患者さまがご自身で正しい歯磨きができるように、歯ブラシの選び方や持ち方、磨き方などをアドバイスすることです。歯周病とむし歯は、どちらも歯垢を徹底的に取り除くことで予防できます。
歯磨きが十分にできていないと、完治しても早々に再発してしまうでしょう。ブラッシング指導では歯垢の染め出し液を使用し、磨けていない箇所を可視化することで、患者さまに磨き方の改善を意識していただいております。
スケーリング(歯肉縁上の歯石取り)
スケーリングとは、歯ぐきの上の見えている部分に付着した歯垢や歯石を手用スケーラーやエアスケーラー、超音波スケーラーなどで除去する処置のことです。歯垢は歯ブラシで除去できますが、歯石はスケーリングでなければ落とすことができません。患者さまに合わせて最適なスケーラーを使用し、歯垢や歯石を丁寧に取り除きます。
ルートプレーニング
(歯肉縁下の歯石取り)
歯周ポケット内の汚れを放置すると歯周病菌が出す毒素が歯に浸透し、汚染セメント質と呼ばれる状態になり、歯石を除去しても歯周ポケットが改善しなくなります。歯周ポケットの内部に歯垢や歯石が蓄積している場合は、麻酔をしたうえでルートプレーニングという処置を行います。歯周ポケット内の歯垢や歯石を徹底的に除去するだけではなく、汚染セメント質も除去しつつ歯の根の表面をなめらかに磨いて歯垢の再付着を防ぎます。
歯周外科治療
歯周外科治療(フラップ手術)とは、スケーリングやルートプレーニングでは除去できないほどに歯周ポケットの奥深くに歯垢・歯石が付着した場合に行う外科治療です。ルートプレーニング後に歯周ポケットの深さが5mm以上で歯石が残っている場合に検討します。
歯ぐきを切開して歯の根を露出させ、目視で歯垢や歯石を除去し、歯ぐきを縫合します。治療後は歯ぐきが少し下がるため、行うかどうかは患者さまにご相談いたしますのでご安心ください。
歯周組織再生療法
(エムドゲイン法)
歯周病が進行すると歯を支える歯槽骨が失われるのですが、歯周病治療で症状が改善しても一度失われた歯槽骨は元には戻りません。そこで行われるのが歯周組織再生療法です。
エムドゲインと呼ばれる薬剤によって、歯が生える環境を人為的に作り出し、歯周組織の再生を促します。歯周病によって破壊された歯槽骨が回復させて、歯が抜け落ちるリスクを抑えることができます。