小児矯正とは
小児矯正とは、乳歯と永久歯が混在する時期に行う歯並びや顎の成長を整える治療です。
顎の発育不全は、噛む機能だけでなく、滑舌や顔の形にも大きく影響します。
小児矯正では、成長期を活かして歯の位置や顎の骨の発育を誘導し、将来的な問題を予防します。
この時期に行う治療は、成長が終わってしまった後の成人矯正と比べて、より効率的かつ負担が少ないのが特徴です。
矯正装置は取り外し式であることが多く、主に夜寝ている間に使用します。
お子様の負担を軽減しながら、骨格や歯列を整えるため、治療へのストレスも最小限に抑えられます。
小児矯正を始める
タイミングについて
小児矯正を始める最適なタイミングは、乳歯から永久歯に生え変わる時期です。この期間に顎の発育や歯の位置を正しく導くことで、将来の歯並びや噛み合わせの問題を予防します。小児矯正には「一期治療」と「二期治療」があり、成長段階に合わせた適切な治療を行います。
第一期治療
第一期治療は、通常6歳から7歳ごろに始める治療です。この段階では、まだ歯や顎の成長が途中であるため、問題を早期に発見し、適切な矯正を行うことで、将来の歯並びや噛み合わせの乱れを予防できます。特に顎の成長をコントロールすることができるのはこの時期だけなので、将来的な顎の発育を促すためにも重要な治療となります。通院頻度は1ヶ月に1回になります。
第二期治療
第二期治療は、お子様の永久歯がすべて生え揃った後、通常11歳から14歳ごろに行います。この段階では、歯並びや噛み合わせの最終的な調整を行い、理想的な状態を目指します。成長期が終わると、顎を広げる治療が難しくなるため、スペースが不足している場合は抜歯が必要になることもあります。このため、一期治療で適切に顎の成長を促すことが、将来的な抜歯のリスクを減らす鍵となります。二期治療(成人矯正)では、装置の調整や治療の進行状況を確認するため、ワイヤーは1ヶ月に1回、インビザラインは3ヶ月に1回のペースで通院していただきます。
お子様のこのような
歯並びや癖のお悩みは
ありませんか?
お子様の歯並びには、成長とともに注意が必要なケースがあります。以下のような歯並びや癖がある場合、小児矯正が適切な選択となることが多いです。
受け口 (反対咬合・
はんたいこうごう)
下顎の前歯が上顎の前歯より前に出ている状態を受け口や反対咬合といいます。
この状態は、噛み合わせに大きな問題を引き起こすだけでなく、将来的に顎の成長に悪影響を与える可能性があります。
開咬 (かいこう)
奥歯を噛み合わせたときに、前歯の上下にすき間が空いている状態を開咬といいます。この状態は、発音や食べ物をしっかり噛み切る機能に影響を及ぼします。
上顎前突 (出っ歯・
口ゴボ)
上顎の前歯が下顎の前歯より大きく前方に突き出している状態を上顎前突や出っ歯と呼びます。この状態は、見た目の問題だけでなく、噛み合わせにも悪影響を与える可能性があります。
叢生 (そうせい・
乱ぐい歯)
歯が重なり合って並んでいる状態を叢生、乱ぐい歯といいます。この状態では、歯磨きが難しくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
- 指しゃぶり
- 口呼吸
- 爪を噛む癖
- 頬杖
- 猫背
- 寝相
小児矯正のメリット
痛みが少ない
小児矯正は成長を利用して行うため、成人矯正のような無理な力を加える必要がありません。そのため、治療中の痛みが少なく、お子様にとっても負担が軽い治療です。
矯正装置が取り外しできる
小児矯正では、主に夜寝るときに装置を使用するため、日中に装置をつけているストレスがありません。これにより、学校や日常生活に支障をきたすことなく治療が進められます。
顎が正しく成長する
小児矯正では、成長を利用して顎の発育を促します。成人になってからでは難しい顎の調整も、子どものうちに行うことで、将来の噛み合わせや見た目の問題を予防できます。
咬み合わせが正しくなる
咬み合わせは全身の健康にも影響を与えます。小児矯正を行うことで、正しい咬み合わせを幼少期から整えることができ、成長に伴う身体全体のバランスを保つことができます。
将来的に抜歯の可能性が低くなる
小児矯正を通じて、顎の成長を適切にコントロールすることで、永久歯が生え揃った際にスペース不足が解消され、将来的に抜歯が必要になるリスクを低減できます。
成人矯正が簡単な治療で済む可能性が高くなる
小児期に顎の成長を整えることで、将来的に必要な成人矯正の難易度が低くなることが期待されます。土台が整った状態で歯が生えるため、抜歯が不要な場合や短期間で治療が完了するケースもあります。
小児矯正装置の種類
マイオブレース
マイオブレースは、歯並びや噛み合わせの改善だけでなく、口腔習癖(口呼吸、頬杖、舌の位置が悪いなど)を正すことを目的とした予防的な矯正治療5歳ごろから使用できます。
特にお子様の成長期に行う治療で、歯列不正の根本原因となるこれらの悪い癖を改善し、正しい発育へと導くことを目指します。
一般的な矯正治療と異なり、マイオブレースは取り外しができるため、日中1時間と就寝時に装着するだけで効果を発揮します。
拡大装置
歯列の幅を広げ、永久歯が生えるためのスペースを確保する装置です。乳歯が残っているお子様に適用され、スクリューを調整してゆっくりと広げていきます。取り外し式と固定式があり、お口の状態に応じて選択します。すべての症例に適応するわけではなく、しっかりとした診断と計画が重要です。当院では長期的な視点で精度の高い治療を行い、お子様の将来の歯並びを考えた矯正をご提案します。
筋機能訓練装置
(ムーシールド)
ムーシールドは、主に受け口(反対咬合)の治療に用いる装置で、3歳頃から使用できます。舌や口周りの筋肉のバランスを整え、歯列や咬み合わせの改善をサポートします。柔らかい素材で作られており、就寝時に装着することで無理なく口腔環境を整えます。
早期からの筋機能訓練によって、将来の本格的な矯正治療の必要性を軽減することが期待されます。
ワイヤー矯正
(マルチブラケット)
ワイヤー矯正は、永久歯が生え揃った二期治療の時期に行う効果的な矯正治療です。歯にブラケットを取り付け、ワイヤーでつなぐことで歯に力を加え、理想の位置に導きます。目立たない白色や透明な装置、歯の裏側に取り付ける裏側矯正もあり、外見を気にせず治療が可能です。一期治療で効果を得られた場合、二期治療では歯を抜くリスクが大幅に抑えられ、スムーズな矯正が期待できます。
インビザライン(マウスピース矯正)
インビザライン(マウスピース矯正)は、専用のマウスピースを作成し、定期的に新しいものに交換することで少しずつ歯を動かす矯正方法です。永久歯が生え揃った二期治療の時期に行う効果的な治療法の一つとしても注目されています。取り外し可能なので、食事や歯磨きを通常通り行うことができ、見た目にも配慮されたデザインで周囲に気づかれにくいのが特長です。
矯正歯科治療中のむし歯予防
矯正治療中は、矯正装置が原因で歯ブラシが届きにくくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。当院では、治療中も定期的にむし歯や歯周病のチェックを行い、必要であれば治療を進めます。
さらに、歯科衛生士による歯磨き指導やクリーニングを行い、常に清潔な口腔内環境を保つサポートを行っていますので、ご安心ください。